家賃から想定する適切なリフォームコストはいくらなのか?
これは物件を持った後の検討事項の中でもむずかしい事項になるかと思います。
結局は、「どれだけ生きたお金の使い方ができるか?」と言う結論に行きつきますが、
具体的に想定すべき色々なことが存在します。ひとつの例として今回は記したいと思います。
世間の物件はどの程度リフォームコストをかけられているのか?
先日神戸市内、三ノ宮駅周辺で賃貸物件を探す機会がありました。
大家として中古物件を購入する話ではなく、借りる側の話です。
念のため、勘違いのございませんように!
で、賃料相場って安い、安くなってきている…と、大家目線では知っている事実ではあったのですが、
逆の立場、賃借人側からの目線では安い物件はあるけれど、安かろう〇かろう…とまでは言わないにしても
やっぱり一難ある物件になってしまうのが実感としてありました。
一難というのは、まず一番多いのが「パっと見で古い」。
「ここに住みたい!」という感情は第一印象で全く起こらない感じです。
あとは「手入れが不十分」「設備・建築としてクオリティが低い」など
どうしても無視できない粗が目に付いてしまう物件がほとんどでした。
大家さんの立場の考えとしては賃料が安いから修繕・リフォームにも費用が掛けられないと、
古さやクオリティの不十分を残したまま賃貸募集をしていると言う現状なのかと思います。
対して、相場より月額賃料で¥5,000~¥10,000高い物件だと、急に綺麗なものが多くなります。
一概に築年数が新しいというわけでもなく、古いけれども適度に手を入れ、クオリティを維持されている印象。
借りる側目線では、「良い印象」を持つことができるレベルでした。
入居付けに困らないためには、少し賃料を高くしてでも、
「適切に費用をかけ」
「クオリティの水準を維持する」
ことを目的に費用をかける、言い換えると追加投資することも必要なことだと改めて感じられる良い機会でした。
適切なリフォームコスト
適切なリフォームのコストは賃料の2~5年分などと言われる場面が多いです。
しかしこの説明は非常に荒いものです。
なぜなら前提条件も何も定義していませんからね。
例えば…
- 設備故障のための交換・修理
- 年単位で空室が埋まらない物件に入居付けをするためのリフォーム
- これまでの家賃より高額で入居付けを行うための攻めのリフォーム
等の状況が想定して以下で考えてみます。
それぞれでどの程度の投資が適切かは全く異なるものです。
1.設備故障のための交換・修理
現況として入居者がいる場合には、費用云々を言っている余裕はあまりなく早急に対応することが最優先になってしまいます。
となると材料費を下げる時間的余裕もなければ、場合により工賃としても急ぎの対応を求めたりするため割高になります。
ここでは適切な費用かどうかを評価して発注することは現実的ではありません。
理想としては、常日頃から建築会社・工務店さんなどのお付合いで関係性を築いておき、
突発的な事が起こった際にも柔軟に対応してもらえることが望ましいですね。
2.年単位で空室が埋まらない物件に入居付けをするためのリフォーム
端からこの想定も非常に曖昧な設定ですが、周辺地域に賃貸需要があるものの
物件が経年劣化していて競争力がない…という状況だとします。
この場合、設備のある程度一式を更新する…の様な対応になるでしょう。
目標の家賃は周辺相場と同等。
こうなると、投資額はできるだけ小さく抑えたい思考になります。
家賃が止まっている期間をできるだけ早く終わらせたい、
投資金もできるだけ早く回収したい…と言うところが最優先になり、
投資額は多くて家賃収入2年分ぐらい。
大がかりなリフォームもできないことは、その後の入居付けが本当に確実にできるのか
そこは注意しておかなければなりません。
3.これまでの家賃より高額で入居付けを行うための攻めのリフォーム
こちらになると、リフォームの内容自体が上で述べたものよりかなり攻めの内容になるはずです。
- 設備の更新と言う範疇にはとどまらず、今時の設備を導入する
- 間取を変更して、若い人の好みに合う住居づくりをする
- 個性を感じられるデザイン性を取り入れる
など、賃料を評価する以前に物件そのものを評価してもらえうように、
言い過ぎかもしれませんが「惚れこんでもらえる」物件に仕立て上げる必要があります。
でなければ、お客さんが決断するには他の物件と比較されることになり
それは結局賃料で比較されることになってしまいますので
結局当初の目論見である「高額家賃で入居付け」が叶わなくなってしまいます。
これを実現するための投資額としては、従来家賃の3年分ぐらいは下らないかもしれません。
投資額の回収に3年以上かかるということですが、そこは賃料をUPできるという想定ですので、
投資回収期間はもう少し短くできます。
さらに、投資額の評価として、投資を積極的にできる別の角度からの考え方もあったりもしますが、それはまた別の機会に…。
まとめ
リフォームだけに限らず、費用を使う、投資をするということに関して、
どの程度が適切かは一概に言えたものでは無いのは当然ですが、
同じ状況でも何を意図してのものなのかにより異なってもくるはずです。
ただ一つ言えるのは、
「意図を持って、適切にお金を使う。
ただし、前提条件として信頼できる協力者の存在は必須。」
ということ。
と、書いていて、私自身が自ら肝に銘じたいと思います。